~個人的に「歯切れのよいスタカート」は練習して獲得するものでした~
投稿:舩生好幸(Primary-f/向実庵代表、ファゴット愛好家・研究家)2023.12.3
40年近い昔の学生時代、オーケストラの定期演奏会の録音で自分の演奏を聴き、がっかりした記憶が今も鮮明です。
楽曲の中で歯切れのよいスタカートのフレーズを演奏していたはずが、文字にすると「パウ・パウ・パウ・パウ…」といった感じで発音が甘く、なんとも歯切れが悪く、恥ずかしくなったことを記憶しています。
当時の私は今以上に引っ込み思案で、普段の会話からして発音が不明瞭でした。楽器の演奏にもその悪習慣が顔を出してしまい、明確な発音ができていませんでした。
〇歯切れのよい発音のための練習方法
その少し後、プロの先生のレッスンに通った際、スタカートなど明快な発音を作るための練習についてアドバイスをいただきました。
一つ一つの音を、「電話の発信音」あるいは「豆腐のような四角い音」のように、はっきり発音し、減衰させずに音符分伸ばして切る、そのような発音練習を繰り返し、歯切れのよい発音をマスターする、といった内容でした。
(文字で表現しきれまませんが、四角い音を「ター・ター・ター・ター」または「タ・タ・タ・タ」と並べる発音練習です。)
また、メトロノームをかけて、正確なテンポを保ちながら発音練習するように習ったのもこのタイミングだったと思います。
社会人になってからは、どの音域でも歯切れのよい発音ができるよう、家で行う個人練習のはじめに、最低音のB♭から最高音域までのロングトーンに続いて、同じく最低音のB♭から最高音域までタンギング練習も行うようにしています。
具体的にはテンポ=120程で、「タ・タ・タ・タ」といった感じでクリアな発音の音を8個並べてから次の音に移ります。もし8個正確にできなければできるまで繰り返します。そして、今も個人練習にメトロノームは必須です。
〇個人的に「歯切れのよいスタカート」は練習して獲得するもの
ファゴット奏者の方それぞれだと思いますが、個人的には「ファゴットは歯切れのよいスタカート表現が得意」という一般論を今でも素直には肯定できません。
私の場合、明確で歯切れのよい発音は、かなり苦労をして、ようやく獲得できたものであり、その維持にも相応の努力が必要なものだからです。
また、このブログをお読みの皆様が、ご自身の演奏が意図したとおり「歯切れ良いスタカート」として聴き手に届いているか確認したいなら、練習中に録音を取って確認することをお勧めします。
*ご参考ブログ:楽器の練習に録音機器を活用しましょう
(Primary-f/向実庵 代表)
追伸:上記の歯切れのよい発音を得るための練習は、以下でご紹介しているデイリートレーニング集に第1.(2)項としてまとめております。ご興味がありましたら商品ページをのぞいてみてください。(最後は広告で恐縮です。)
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