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  • 執筆者の写真舩生 好幸

ファゴットのメンテナンスの重要性

更新日:2023年7月4日

~練習ももちろん大切ですが、その前提は「楽器が健康」であることです


投稿:舩生好幸(ファゴット愛好家・研究家)2023.7.2


先日、2006年に出演したファゴットアンサンブル演奏会の録音を、十数年ぶりに聴き直しました。


耳につくのはよくできたところより、不出来だったところ。

思い起こせば練習不足も、周囲とのコミュニケーション不足などもありましたが、当時、楽器のコンディションも万全ではありませんでした。

ファゴットのテナージョイント
まさにこの楽器が不調で長年苦労してきました(テナージョイント部分)

特に高音域の発音が困難で、テノール音域のA♭がひっくり返る、その上のHi-C#以上は出にくい、楽器が十分に鳴っていない、など、楽器本来のコンディションではありませんでした。


上記の演奏会の1年以上あと、腕の良いリペアショップを見つけて楽器を調整してもらい、やっと本調子が出るようになった記憶があります。(・・やや遅すぎですね。)


〇ファゴットはコンディションが悪いと演奏が困難

ファゴットが属するダブルリード楽器は、わずかな息漏れやタンポの開きの不具合でも、途端に発音が困難になったり、音程に不具合が生じやすい、気難しいところがあります。


キーが外れていたりタンポがとれる、等のトラブルなら分かりやすいですが、ちょっと見ではわからない程度の変化でも、演奏に重大な問題が生じる場合があります。


ファゴットは本来、調整が行き届いている状態で、リードやボーカルも演奏に適している状態なら、最低音B♭までさほど困難なく発音できると思います。


高音域も、コンディションの良い楽器なら、始めて1年ちょっとの奏者でもHi-Cあたりまでの発音はそれほど難しくないでしょう。上級者になればHi-D以上も問題ないでしょう。


ですが、楽器のコンディションが悪い、特に息漏れがあると、上級者でも最低音B♭どころかLow-Fが出ない、Hi-C#も当たらない、といった状況になりかねません。


〇新品でも、コンディションがよい楽器とは限らない

ファゴットの場合、楽器店で販売されている新品の楽器でも、楽器のコンディションは個体ごとに結構ばらつきがあるものです。


楽器の購入時、複数本の中から試奏して選ぶことができるなら、実際に試奏してみて一番コンディションの良い楽器を選びましょう。


もしも、気に入った装備、音色などを備えた楽器はそれ一本で、高音域や低音域など発音しにくい音があるけれど、やはりその楽器が欲しい、という場合は、楽器店に納品前に再調整してもらえるよう交渉してみましょう。


新品の楽器であれば部品の劣化もありませんし、少しの調整で改善できる可能性も大きいと思います。


また、中には「プロ奏者の選定品」を中心に扱う楽器店もあります。

(筆者が知っているお店ですと、シュライバー、クランポン(バソン)等を扱う永江楽器は「プロ奏者の選定品」を多数扱っており、購入が決定された楽器は再調整してから出荷します。)


楽器のモデルやメーカー・ブランドが気に入るなら、そのような選定済み・調整済みの楽器を購入することが望ましいです。


〇定期的なメンテナンスが必要

いつも使っていると気付きにくいですが、時間が経過するうちにタンポ(特にLow-Hなど低い音域)の開きが大きくなって楽器全体のピッチが上ずってしまうことがあります。


楽器のピッチが上るとテノール音域以上の音の保持が楽にはなりますが、同時に中低音域のピッチも上ってしまい、合奏中に周囲から「ファゴットのピッチが高すぎ」などとクレームが出る可能性が増します。


年間を通じて使用している楽器なら、年に1回程度定期的に、楽器店や専門のリペアショップで調整やメンテナンスをしてもらうことをお勧めします。


(Primary-f/向実庵 代表)


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