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  • 執筆者の写真舩生 好幸

「意識しないとできないうちは、まだ本物じゃないんだ。」

更新日:5月18日

~三浦知良さんのコラムにちなんで~


投稿:舩生好幸(Primary-f/向実庵代表、ファゴット愛好家・研究家)2024.5.12

(更新:2024.5.18)


色彩、円形
画像出典・写真AC:https://www.photo-ac.com/

2024年5月10日(金)の日経新聞朝刊に掲載されたサッカー元日本代表・三浦知良さんのコラム「サッカー人として」のお題は「無意識にできてこそ」でした。


その中から特に印象に残った文章を引用させていただくと、


「意識して取り組み続けてきたことが、無意識にできるようになる。この時初めて、何かを身につけたと言える。意識しないとできないうちは、まだ本物じゃないんだ。」


スポーツ同様、身体を使う物理的かつリアルな活動である楽器演奏にも通じる、そう思いながら読ませていただきました。


以下、アマチュア奏者の活動で、「無意識」が重要な役割を果たしていると思われる失敗や成功について、書いてみたいと思います。


〇普段は上手なのに、なぜか演奏会本番で下手になる


たとえば、器用で才能あるアマチュア奏者の方が、普段の練習中は大変すばらしく魅力的な演奏ができるのに、

演奏会当日、ステージに上がってみると、緊張で委縮してしまい、普段の演奏から随分と劣ったパフォーマンスに留まってしまう、という状況を、学生時代から社会人に至るまで、何度も目にしてきました。


逆に、不器用とか鈍才、と周囲からみなされていたアマチュア奏者の方が、

練習では危なっかしい演奏であったのに、人知れず地道な努力を重ねてきたのでしょう、

演奏会が近くなる頃には演奏が安定してきて、本番当日は楽曲中の難しい箇所をしっかりと演奏できた、ということも折々に見かけました。


対照的な事象を並べましたが、共通すると思われるポイントはおそらく、

「望むような演奏ができるよう『無意識』(潜在意識)にうまく音楽(の情報?)

を引き渡せているかどうか」


ではないかと思います。


〇顕在意識主導の演奏(法?)


器用で才能あるプレーヤーの方の中には、その能力の高さゆえに、普段の練習では楽譜に書かれている内容をその都度読み取り、意識(=顕在意識)で情報処理して身体に命令を出しながら演奏している場合もあるようです。


このような状況では脳内で大量の情報処理が行われていることでしょう。十分に機能させるにはリラックスでき、集中できる環境が必要でしょう。

普段の練習では、その環境が得られているものと思われます。


一方、演奏会本番は緊張を伴う特殊な環境です。普段は発揮できる顕在意識の働きもスムーズに機能せず、ために演奏が普段よりも劣ったパフォーマンスに留まる、そんな事象が起こるのでは、と想像します。


〇不器用であっても「無意識」に演奏できるまで練習しておけば


一方、不器用な人間ですと、普段の練習であっても、交響曲などの楽譜に書かれている複雑な内容を読み取りつつ、都度「情報処理」しながら演奏する、などは至難の業です。


仕方ないので、合奏前に個人練習などで楽譜に書かれていることを体が覚えるまで=無意識に指が回って、都度考えなくとも演奏できるまで、普段から少しずつ練習を積み上げておく必要があります。そうしておかないと普段の合奏練習でも演奏になりません。


ですが、ここには大きなメリットもあります。

無意識的に演奏できるまで練習ができていれば、演奏会当日の緊張する環境でも身体はいつも通りに働き、結果的に思ったとおりのパフォーマンスをステージ上で披露できる、ということにもつながるからです。


〇私自身の経験は


私自身、失敗も成功も経験あります。


普段の練習中「ここは大丈夫」と感じた箇所を結果として手抜きしてしまい、演奏会で演奏を落としたことが何度かありました。

このような場合は油断から練習が不足しており、無意識に演奏できるまで練習ができていませんでした。


その後反省して、演奏会直前は、なるべく本番に近い状況を確かめられるよう、個人練習で、交響曲ならなるべく全楽章通して、演奏ができている=考えなくとも体が動くこと、を点検するようになりました。


また逆に、楽曲中に難しくややこしい箇所のある場合でも、事前に十分さらいこむことができて無意識に演奏できるまで完成度を高めておけると、

演奏会のはじめは緊張しても、いつもと同じように演奏できることで安心感が得られ、次第に緊張が解けて、ステージ上でも思い通りに演奏できた、ということもありました。


〇「無意識にできるようになる。この時初めて、何かを身につけたと言える。」


プロの演奏家であればもちろん、そして(器用/不器用を問わず)アマチュア奏者でも、都度考えずとも体が動く、無意識的に演奏できることの大切さを心得ている方なら、


普段の練習から、考えなくとも自然に演奏できるまで練習を積み重ね、結果、演奏会では思ったとおり、余裕をもって演奏を披露する、というケースも多いことでしょう。


「意識して取り組み続けてきたことが、無意識にできるようになる。この時初めて、何かを身につけたと言える。意識しないとできないうちは、まだ本物じゃないんだ。」


不器用な私も、カズさんのこの言葉、改めて肝に銘じたいと思います。


(Primary-f/向実庵 代表)


(以上、「お前の解釈は的外れ」の側面も多分にありえますが、思った通り書かせていただきました。個人のブログゆえ、平にご容赦を。)


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